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ルイーズ・イェーツ『ほんやのいぬくん』


ほんやのいぬくんほんやのいぬくん
(2010/02/27)
ルイーズ・イェーツ

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本がすきなひとで、本屋にあこがれたことがないひとがいましょうか?
否!
…と断言してしまいましたが、みなさんどうですか?

ぼくの場合は、バイトでもたずさわる機会がなかったもので、
その欠落をうめるためなのか、本屋を舞台にしたはなしに興味をひかれます。
小説は、時間がなくてなかなか読めていないのですが、それ以外は…。

ノンフィクションなら、井原万見子『すごい本屋!』
マンガなら、磯谷友紀『本屋の森のあかり』
そして絵本なら、今回の『ほんやのいぬくん』です。

いぬくんは ほんが だいすきでした
ほんの においが だいすきで
ほんの ねごこちが だいすき
ほんが まるごと だいすき だいすき


ああ、においはかぎますよね。
新品のにおいもいいけれど、やはり古本の、あのジメッとした感じがたまりません。
なかには、まえのもちぬしのタバコのにおいがしみついたものも…ちと勘弁。

本をまくらにねる、とはよくききますが、実践したことはそういえばありません。
雑誌ならともかく、ハードカバーのかたい表紙で、ねむれるものなんでしょうか。

本ずきなあまりに、じぶんで本屋をひらいてしまったいぬくん。
でもやってきたのは、ミルクティーを所望するオバちゃんだったり、
地図を手に道をたずねるオッちゃんだったり。
まあ、宣伝もなしにいきなり繁盛はしません。

でも たちなおりは はやいのです!

こういうことばを、おさないころにきいていると、あんがい耳にのこる気がします。
うまくいかないことがあっても、ふてくされずに、
このことばを口にして、自力でたちなおる、そうなれたらいいですね。

お客さんがこないなら、と、じぶんで本をよみはじめたいぬくん。

よんでいると ひとりぼっちでは ありません
よんでいると ここが ほんやじゃない みたい


イマジネーションの世界であそぶいぬくん。
なんだか、ちっちゃいころのぼく自身を見ているかのようです。

あんまり、そとでからだをうごかしてあそぶこどもじゃなかったんです。
ぼくも、家のなかで本を読むほうがすきでした。
三つ子の魂百までとはよくいったもので、おかげでいま、こうして本まみれの生活です。

つらいこと、かなしいことがあったときに、
「現実からにげるな、真正面からたちむかえ」とはよくいわれます。
でも、ちょっと非現実の世界により道するくらいは、あっていいとおもうのです。
また現実の世界で生きるためのパワーを、そこで充電しているのですから。
(ただ、バランスは大事。いっちゃったままじゃもどれませんからね)

ちなみに、この本を翻訳したのは、本上まなみさん。
役者としての仕事は、正直めったにドラマを見ないので、存じあげないのですが、
エッセイがとてもおもしろく、何冊か買って読んでいます。
いきおいで、BSの「トラベリックス」も見るようになり、
この絵本も、頭のなかではほんじょさんの声で再生されていたのでした。

オビの、ほんじょさんコメント。

本のにおいをくんくん。
うっとりしてしまうのは 私だけじゃあ なかったんだ!


おお、心の友よ!
やはり、視覚のみならず、嗅覚もふくめての「本」なのです。

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ミシェル・ヌードセン 作/ケビン・ホークス 絵『としょかんライオン』


としょかんライオン (海外秀作絵本 17)としょかんライオン (海外秀作絵本 17)
(2007/04/20)
ミシェル・ヌードセン

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坂本龍一+編纂チーム選『いまだから読みたい本 -3.11後の日本』(小学館)で、
JRC(音楽著作権管理会社)の荒川祐二さんがこの本を推薦していました。
じつは、2007年3刷のときに、すでに買っていたのです。
なので、おもわずところですきな本が出てきて、おどろいたりうれしかったり。

荒川さんいわく、

(前掲書p117)
「ドキドキするストーリーを楽しみながら『きまりを守る』ことの本当の意味や
 臨機応変に判断することの大切さを考えさせられる、大人こそ読みたい絵本」


図書館にライオンがはいってきたらどうするか?
ひとをおそうようなら麻酔銃スナイパーの手番でしょうが、
このライオンは、ひとにかみつこうとするでもなく、威嚇してほえるでもなく、
クッションに顔をうずめてねむったり、
おはなしの時間に、こどもたちといっしょにじっときいていたり。

おはなしがおわると「もっとよんで!」と、おおきな声でほえてしまいます。
そこにあらわれた、図書館のメリウェザー館長。
「しずかにできないのなら、としょかんから
 でていっていただきます。それが きまりですから!」

ライオンだから問答無用に出ていけ!ではなく、
あくまでもルールにのっとって、うるさくしたら出ていけ!と。
たしかに「ライオンは図書館にはいるべからず」というきまりはありません。

つまり、しずかに行儀よくしていれば、ライオンも図書館にいていい、と。
なのでライオンは、
書棚のほこりをはらったり、封筒ののりづけがわりにベロでなめたり、
こどもをせなかにのせて、たかいところに手をとどけさせてあげたり。

ライオンはすっかり図書館の人気者。
それがおもしろくないのは、まじめな図書館員のマクビーさんで…。

…というところで、ネタバレはやめておきますが、
これはほんとうによくできています。
おおくの海外絵本賞を受賞したのもうなづけます。

図書館ではしずかにしなければならない。
走ったり、さわいだりしてはいけない。
でもそれは、どんなときでも、どんな状況でもまもるべきこと?
ルールとマナーのちがい、ということをかんがえさせる話です。

絵本なので、もちろんたくさんの絵がえがかれています。
ライオンの造形は、マンガチックではなく、でもリアルすぎない感じ。
ねっころがって、こどもがせなかをあずけているさまは、なんと愛らしいこと。

そして魅力的なのが、メリウェザー館長。
ライオンがはじめてきたときも、まるで動じない、冷静沈着な女性。
あたらしいことがらを、おちついてうけいれる姿勢。

荒川祐二さんが、この本を「いまだから読みたい本」にいれたことから、
 ◯ライオン=未体験の事態=3.11以降におこったさまざまな問題、
 ◯図書館のひとたち=3.11震災に遭遇し、対応をせまられるわたしたち、
という見かたができるとおもいます。

かつて体験したことのない事態に、どう応じればいいのか?
いまあるルールのすべてを厳守することは、かならずなされるべきなのか?
まさに臨機応変に、その場の判断でなすべきこともあるのではないか?

もちろんこの本は震災のまえにつくられたものなので、
こういう見かたは、ぼくなりのあとづけにすぎません。
でも、こどものためのつくり話をきっかけにして、
おはなしを聞いたこどもたちが、かんがえるきざしになれば、ともおもうのです。

おとなのぼくたちが、もっとも感情移入できるのは、マクビーさんでしょう。
ルールをまもるきまじめさゆえに、ライオンをよくおもわないのですが、
物語の後半に、じつにいい役割をはたすことになります。
アメリカのウェルメイドコメディのような、粋なふるまいをしてくれます。

できるならば、メリウェザー館長のようなフトコロのふかさと、
マクビーさんのような自省のこころをもちたいものです。

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