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唐沢なをき『まんが極道』6巻


まんが極道 6 (ビームコミックス)まんが極道 6 (ビームコミックス)
(2012/01/25)
唐沢なをき

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どんなホラー作品をみるよりも、はるかにこわい作品。
マンガという業にとりつかれたものたちの、阿鼻叫喚の無間地獄。
ひとの不幸は蜜の味、とはいうものの、てばなしにわらいきれないのは、
この唾棄すべき人間どものなかに、みにくいじぶんじしんをみてしまうからなのか…。

第62話「老後」。
2030年代、なおも開催されているコミプ(コミケ?)に参加している老人たち。
逆算して、2012年現在では30〜40代でしょうか。
としだけをとって、人間としてのありかたが青年期とまったくかわっていないという。

(p58)
「オタクっちゅうものはな そんな甘いもんじゃないんだ 生き方なんだひとつの」
「えらい俺たち ダメな若者」
「ダメな若者の描くダメな漫画」
「そこへいくと俺たちの描く漫画のすばらしいことといったら」


「最近のわかいものは…」は何千年もまえからくりかえされてきた、とききますが、
未来においてもやはり歴史はくりかえすのですね。

(p64)
「ああよかった俺ら結婚なんかしなくて」
「結婚厨涙ふけよ」
「童貞大勝利」


(p68)
「ああよかった俺らはクソオタクで」
「社会不適応者でよかった」
「よかったよかった 人生万々歳」


ニコ生や掲示板などの匿名コメントを実際にくちにだすひとって、
ぼくはまだあったことがないのですが、ホントにいるんですか?
じぶんじしんを肯定するって、こういうことではないよなあ、きっと。

第63話「僕は文化人」より、さえないマンガ家のこころのさけび。

(p75)
あーっ もっとラクしたい!
テレビに出て適当なこと喋ってお金儲けたい!
芸能人と友達になって 人から「さすが穿津先生はちがう」って思われたい!
チヤホヤされたい!
下にもおかぬあつかいをされたい!
俺はここにっ ここにいるのにっ
駄目だ 漫画なんかじゃ誰もふりむいてくれねぇ! あーっ あ”あ”あ”ーっ


これを「けっバッカじゃねーの」と一笑に付すことができないのは、
ぼくのなかにも、これほど強烈にではないにしろ、そういうおもいがあるからでしょう。
自己顕示欲という、じぶんのなかのモンスター的な。それをどうあつかうか。

第65話「泥棒くん」いわゆる自炊行為、違法ダウンロード問題について。
この主人公のようなかんがえかたが、いまどきのスタンダードな思考なのでしょうか?

(p108)
この情報弱者めっ もっと頭つかえよ 無駄金つかってんじゃねーよ
俺みたいにうまくやれば!! 全部タダで手にはいるのよ
漫画もアニメも同人誌も音楽も小説も映画も


(p111)
さーて おもしろい漫画出てないかどうかコンビニに立ち読みしに行こう
リサーチリサーチ
おもしろいの確かめてからネット探してダウソするのね
本屋はダメだ ビニールで包んで読めねぇから
けちんぼめっ 本屋なんかみんな潰れてしまえ
俺に金を使わせようとする奴らはみんな潰れてしまえ


(p119)
絶対に金払って読むもんか漫画なんて
トクしてやる!俺一人がトクしてやる


この御仁には、「ふりこめない詐欺」とか「ドネーション」とか、
そういうことはわかってもらえないだろうし、かんがえたこともないでしょう。
おもしろいもの、感動したもの、価値があるとおもったものにふれたときに、
それをつくるひとをささえたい、たのしませてもらったお礼をしたいとおもうことも。

たとえば、竹書房のサイト「まんがライフWIN」では、
たくさんのマンガを1ページ、1ネタ分単位で、毎日無料配信しています。
まとまったら単行本として、つまり紙媒体で販売されるわけですが、
「タダでみられるのに、わざわざカネをだしてかうの?」とおもわれるでしょうか?

すくなくとも、ぼくはかいました(このマンガです)。
さきの「泥棒くん」にいわせれば、
「馬鹿正直に金出して漫画買ってるヤツぁご苦労さんですな!」となりますが。
こずるくたちまわるくらいなら、馬鹿正直でけっこうです。

この「泥棒くん」のオチのページ(p120)ですが、
脈絡がなかろうがオチてなかろうが問題ありません。むしろよくやった。
これだけで10ページくらいやっちゃってもよかったかもですね。

「泥棒くん」には、こうしてブログでマンガの感想をかいても、
「一銭の得にもならないじゃん このヒマ人っ」といわれましたが、
しったこっちゃありません。まだまだかきつづけますからね。

ちなみに、ぼくがいちばん「うわぁ…これはないわ…」とおもったのは、
第68話「紛失」および、それに関する唐沢よしこさんの解説。
出版社によるマンガ原稿の紛失、そして損害賠償をもとめての裁判。
マンガはフィクションですが、唐沢なをきさんが裁判をおこしたのは本当でした。
ホント、マンガはもちろんおもしろいけれど、わらうにわらえなくもなります。

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