スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

荒川弘『百姓貴族』


百姓貴族 (WINGS COMICS)百姓貴族 (WINGS COMICS)
(2009/12/11)
荒川 弘

商品詳細を見る

週刊少年サンデーで『銀の匙』の連載がはじまったときに、
「ああ、フィクション版『百姓貴族』か」と感じたひともすくなくないでしょう。
いまも雑誌「ウンポコ」で連載中(のはず、見てないけど)の本作は、
実家が農家である作者・荒川弘氏の、農業にまつわるエッセイマンガです。

ちなみに自分は、前作『鋼の錬金術師』を見たことがありません。
正確には、テレビのザッピングで目にしたことはあるだろうとおもいますが。
たしか、ちっこい金髪の子が手と手をあわせてなんかする話でしたよね?

なので、自分にとって作者の認識は「ハガレンのひと」でなく「農家のひと」です。
農業に関するまじめな本は、いくつか読んではきましたが、
これほど爆笑し、かつかんがえさせられる形式はありませんでした。

作者は、漫画家になるまえは、北海道で7年間農業に従事。
両親ともに、家系が代々北海道開拓農民の血筋。
ききかじりの知識ではなく、実際にはたらいた者ならではの視点が興味ぶかいです。

「水が無ければ牛乳を飲めばいいのに」

そっ、それは盲点っ…(なのか?)
早明浦ダムの渇水にあえぐ四国住民としては、いたいところをつかれたなあと。

牛乳の消費量がおちたからと、生産調整命令で「牛乳減らせ、牛減らせ」といわれ、
かとおもえば、今度はバター用牛乳がたりないから、もっとしぼれといわれ。
丹誠こめてそだてたものを「捨てろ」といわれたら、それはへこむもので。

(p6)
ひでえなぁと思いつつ、過去の歴史がそうさせたのか、理不尽なことに慣れている農民
わりとタフです
だからと言って悲しくないわけじゃない
牛乳タンクから汚水場へ流されて行く牛乳を見るのは、なんともせつない


さすがに腹にすえかねたのか、「百姓なめとんのか!?」とブチギレ。
日本の食料基地・北海道を独立国家にするシミュレーションをしていますが、
さて、これが実現される日はくるのでしょうか…。

「現実は牛にとってかなり厳しいのだ」

生まれてからいちども立てずにいる子牛。
作者がマッサージや歩行訓練をしても効果がない。
診断した獣医は「めずらしい症例なので研究用に使わせてもらいたい」と提案。

経営にプラスにならないなら、なるだけはやく処分しないと赤字がかさむ。
実験動物になることで、おなじ症状の子牛たちのためになるかもしれない。
だけど実験ということは、どんなくるしみをうけるのか想像もつかない。
丸一日なやみぬいた作者。
母親が出した結論は作者とおなじものでした。

「研究用にするのはやめて下さい。ひと息に殺して下さい」

そうした経験がきっかけで、獣医をめざすようになった作者。
「もやもやしてるって事は納得してないって事だよね
 これは生産者側だけでなく獣医側からも物事を見てみないと」

結局は学費の余裕がなく、漫画家をめざすことになるわけですが。
(ここで断念しなかったら、ハガレンもなかったということに…)

これを下じきにした話が『銀の匙』にも出てきていました。
1巻6話、八軒が家畜診療所の獣医に「獣医になるのに必要なのは?」と質問します。
それに対する獣医さんのこたえ。

(p134~135)
殺れるかどうか。
特に経済動物を相手にしてる家畜獣医なんて、しょっちゅう命の選択を迫られるしね。

だからと言って獣医になるのをあきらめた人がダメって事は無い。
世の中にはそういう「殺せない・殺させたくない」ってやさしい人達が頑張ってるから
助かってる命がたくさんあるんだ。


動物たちの生死、それを選択することが日常になる生活。
実体験を経てきたひとならではのセリフだとおもいました。

農業問題をするどく斬る話あり、そんなバカなとおどろく農家の常識話あり。
ユリイカもハガレンじゃなくて、こっちを特集メインにつかえばいいのに。

自分がいちばんハマったのは、このことばでした。農家のホンネ。

(p105)
だいたい消費者がいけないんだよ
「虫が食ってたらイヤ」とか「形がそろってなきゃイヤ」とか言うから
農薬を使うしかないじゃん
そのくせ農薬たっぷりの輸入物もりもり食べてるし訳わかんねぇ


ええ、ホントに…身につまされます…。

スポンサーサイト

トラックバック一覧

コメント一覧

コメントの投稿

名前

タイトル

メールアドレス

URL

本文

パスワード

非公開コメント管理者にだけ表示を許可する

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。