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ルイス・キャロル/山形浩生訳『不思議の国のアリス』


不思議の国のアリス (文春文庫)不思議の国のアリス (文春文庫)
(2012/01/04)
ルイス キャロル、カズモト トモミ 他

商品詳細を見る

本作がインターネットで公開されたのが1999年。
いまもここで全文をみることができます。

翻訳のおもしろさについては、すでにあちこちで論じられているとおもいます。
じつは、ぼくはこれをよむのはこれがはじめてだったのですが、
とくに、ことばにつっかかることなく、スラスラとよめました。
ここでは、本編とはべつのはなしを。

すでにネットで全文公開しているものを、なぜ紙の本でかうのか。
それについては、すでに『ソーシャルメディアの夜明け』感想でかきましたが、
じぶんのかんがえを(かきこむなどして)かたちとしてもっておきたいのがひとつ。
いまひとつは、文庫版あとがきにあります。

世は電子書籍の時代。
キンドルやブックリーダーがつぎつぎと発売されるようになりました。
かとおもえば、いわゆる自炊行為に対して作家がうったえをおこす事態も。

その10年以上まえに『不思議の国のアリス』をネットで翻訳した山形氏。
英語圏ではすでにそうなっているように、日本においても、
だれもがいろいろなかたちで自由に文章をつかえるようにした、といいます。

(p215)
当時は、リナックスなどのフリーソフトが一般のビジネス誌などでも
採り上げられるようになった時代でもあった。
だから、すべてがフリー(これは無料という意味ではない。
変な権利の縛りなしにで出回り、自由にだれでも使えるという意味だ)で出回り、
それが果てしなく自由に活用加工され、
さらに広く出回るようになるのだ、という話に説得力があった。

…そしてぼくは今でも、その話を信じている。


すべての著作権がとっぱらわれるということは不可能でしょうが、
クリエイティブ・コモンズのかたちで自由につかえる文章がふえることは、
ネットのみならず、社会ぜんたいにおいてもプラスになるはずです。

(p217)
自分の楽しみで訳して、
できたものはしまいこむのももったいないから、
好きに使ってもらうのがいちばんいいだろう―
そうしてできあがったのがこれだ。

これが世にでた当時、反響はどのようなものだったのでしょうか。
当時はじぶんのパソコンをもっておらず、ましてしってもいなかったので、
それをしるよしはありません(どなたかおぼえているかた、いますか?)。

(p218)
ぼくがフリーで公開しているからといって、
他のアリス翻訳がすべて淘汰されたりはしない。
ちがう翻訳、ちがうバージョンはいくらでも共存できる。
また、フリーで公開していてもこうやって本になり、収益機会が生じることもある。
コードや法律でがちがちに守らなくても、売り上げはたつし、
価格破壊で業界がつぶれることはない。


翻訳におけることばのえらびかたはもちろん、
どういうかたちで提示するかもまた、ひとつの解釈であると山形氏はいいます。
そして、解釈の多様性こそが、アリスの世界をますますゆたかにすると。
解釈は世界にたったひとつ、であるはずがなく、複数のものが存在しえます。
ひとつの解釈がだれかを触発し、またあらたな解釈をうむこともあるのです。

さて、電子書籍のなみに対して、日本の出版社はどううごいたかというと。

(p217〜218)
…それらすべてが考えていたのは、
囲い込みだの課金だの権利保護と称した面倒な制約だの。
愚かな著作家や出版社は、そうやっていろんな制約をつけることが
自分たちの収益を守ることになると信じている。
違法コピーが出回ると自分の売り上げが減るとかなんとか言って。
あるいはそれが産業を破壊するとか言って。

でも実際には、過去にもそうした試みはあって破綻しているし、
音楽でもそうした制約で利益を保護する方式はすべて失敗している。


そういえば、CCCDなんてものもありましたっけ。
あのころ、そのかたちのCDをかうにかえず、うらみにおもったものでした。
歴史はくりかえす、のでしょうか。

とはいえ、文句ばかりいっていてもはじまりません。

(p216)
本当に重要なのは、
人々―その筆頭として自分―がいかにして何かを自由に提供するか、ということだ。
そして自由に使えるものを受け取ったら、それをどう発展させるか、という話だ。


まずはじぶんから。
提供できるものは音楽や小説だけとはかぎりません。
できるところからはじめたいですね。

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