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高橋幸宏『ヒトデの休日』


ヒトデの休日ヒトデの休日
(1992/03)
高橋 幸宏

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きょう突然、ビートニクスのUST配信がきまり、いそいでチェックイン。
予定の15時…にはスタートせず、ツイッターで15時30分からとお知らせが。
15時35分。「まもなくスタートできると思います」。
さらに5分がすぎ、ようやく配信がはじまったのでした。

終盤に幸宏さんいわく「慶一くんが遅刻しました」…やっぱりね。
鈴木慶一さんの遅刻グセについては、幸宏さんがこう書いています。
1992年発表、表題のエッセイ作品より。

(p44)
友人の鈴木慶一という人は、よく仕事に遅刻することで有名だ。
彼は毎回その理由というのを披露してくれるのだが、曰く、
「本当は充分間に合う時間に家を出たのだけれど、
 玄関を出たところで犬のウンコをふんでしまった。
 で、気持ちが悪いので家の中に戻り、まず靴を洗い、自分もシャワーを浴びた。
 髪の毛が乾くのに時間がかかり、
 ようやく家を出ようと思った時に今度は自分が便意を催してしまった。
 トイレに入る。俺のトイレは時間が長い。トイレを出る。
 俺はウンコをするとシャワーを浴びないと気が済まない。シャワーを浴びる。
 髪の毛が乾くのを待って家を出たら渋滞。で、こんな時間になってしまった」
というような言いわけを、その遅刻の長短に合わせて、
つなげたりカットしたりしつつ語るのだ。


文字を見るだけで、慶一さんが滔々としゃべるようすが目にうかびます。
そして、それをあきれつつもわらってながめている幸宏さんのすがたも。

(p45)
想像力とボキャブラリーに裏打ちされている彼の言いわけは、つまり、潤滑油だ。
ここまでくれば単なる言いわけを超えているといってもいい。


さて、このたび再結成した、高橋幸宏+鈴木慶一の、ビートニクス。
「怒りを感じたときに活動する」というユニットなのですが、
このエッセイの端々でも、幸宏さんが怒っているさまが出てきます。

(p94)
美しいドーヴィルの海岸を、ダブダブの煮しめたようなジーンズで、
その裾をまくり革靴で歩く姿を見て、僕はひどく気がふさいでしまったのだった。


(p111)
あ〜、くだらない。人生の一秒一分ってのものは、もっと繊細なものだぞ。
そういうことに時間を貸してしまったことを本当に後悔し、
同時にそうさせた週刊誌の記者を心からうらめしく思った。まったく無駄な時間だった。

(p161)
バイキングといえども料理。
そこには、それを調理する人間というのがいるわけで、
いったい彼らには料理人としてのプライドというものがないのか。


引用していくとキリがないので、このへんにしておきます。
全体に、自分の美意識に反するもの、軽薄なものに対して、怒りをあらわすというか。
ああいうものごしだから、ことさら大声でわめきたてることはしないでしょうが、
(武道館での教授みたいに「うるせーぞコノヤロー!」ってのはないでしょう)
おだやかな笑顔の裏側で、ふつふつと怒りをたぎらせているようで。

そんな幸宏さんのことを、まわりにいるひとたちはどう見ているのでしょうか。
巻末の座談会より。

(p212〜213)
信藤三雄「僕はね、まずすごく似てるなって思ったんです、僕と。
 それは…仏教的な、無常感を持ってるってことじゃないかな」

椎名誠「男っぽい奴だなって思ったの。世間のイメージってあるでしょ。
 それにくらべて、すごく男なんだなあ、と。それと、体力はあるなと思った」

高橋信之「逆に味方にしちゃえば、これほど楽な奴はいないですよね。
 いろんな意味で男気だしちゃうしね」


1990年代当初の幸宏さんの楽曲というと、
「1%の関係」「愛はつよい」「元気ならうれしいね」など、
屈折した、ナイーブな男のラブソングがおおくありました。
そうした楽曲からはイメージしにくいですが、じつはかなり「男」なひとだと。

そういえば、YMOのメンバーをかんがえてみると、
右に坂本龍一、左に細野晴臣。
かたや「世界の〜」かたや「音楽王」という稀代の天才どうし、
ひところは確執が噂されていたふたりにはさまれるかたちだったわけです。
(いまはかなりのなかよしさんですね)

これほどのふたりがひとつのバンドに共存できたというのは、
幸宏さんが蝶番としてうまく機能していたからではなかったか。
というかむしろ「ユキヒロを本気で怒らせたらヤバイ」と、
ふたりが察していたからではなかったか…なんて妄想してしまいます。

幸宏さんいわく、

(『コンパクトYMO』p202)
でも、ぼく、人のあいだに立つのは得意ですから(笑)。
べつに、細野さんと教授が仲が悪いってわけじゃないんだけど、
音楽家としてのエゴがそれなりに出てきますから。
ただ、ぼくにももちろんそういうエゴはあるわけで、
ま、難しいバンドだったと思います。


その難しいバンドが、いまこうして再活動しているのを見るのは、感慨ひとしおです。
アメリカツアー、フジロック、ワールドハピネスがおわり、
幸宏さんはビートニクスの新譜が秋にひかえています。
きょうはこれから歌入れ作業だとか。期待して待っています。

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