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ゆうみ・えこ『1年後の3・11―被災地13のオフレコ話』


1年後の3.11―ゆうみ・えこコミック・エッセイ 被災地13のオフレコ話 (SAKURA・MOOK 44)1年後の3.11―ゆうみ・えこコミック・エッセイ 被災地13のオフレコ話 (SAKURA・MOOK 44)
(2012/03/02)
ゆうみ えこ

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これまでなまえもしらなかったマンガ家による震災関連のコミックエッセイ、
というのは、それこそ雨後のタケノコのごとく(というと失礼か)刊行されています。
そのなかで本作をてにとったのは、被災者である筆者がみききしたエピソードが、
とてもなまなましかったから。

とかく「絆」が連呼されつづけてきた、この1年でしたが、
テレビや新聞で報道される美談ばかりが、被災地のすべてではなかったのです。
たとえば。

(p16〜17)
盗難はやはりあったのです
震災当日の夜 2階は助かった大型店からごっそりと…
しかも当日の夜はまだ 数百体ものご遺体があったんです
それを脇目に物を盗んで行く人の気持ちって何なのでしょう
極めつけは 小さなノコギリを手にウロつく人 その目的は…


木材をきりたおすなら、もっとおおきなノコギリをもっているはずです。
そうではなく、せまいところでつかうような、ちいさなもの。
なににつかうのか、できれば察したくはありませんでした。

うえのモノローグのあとのコマは、遺体の手にあてられるノコギリ。
そのあとは、その人物のてがとりだした、血ぞめの指輪。
…どうして、そういうことをかんがえられるのか…。

マンションの5階にいて、津波からのがれられた女性は、こうかたります。

(p23〜24)
下の道路は津波から逃げる車で大渋滞 歩道にも人が溢れて
高いビルの入口は 上に行こうとする人が重なり合っていて…
「津波が―!!」

その時 1台の車が列から抜け出し…
歩道の人たちを―轢き…
跳ね飛ばしながら 逃げて行ったの


車にのっていた人物がどうなったのか、津波のあとではしりえません。
まして、殺人罪で捜査をすることも、いまとなってはかないません。
ですが、もしかしたらたすかっていたかもしれない、たくさんのいのちが、
津波ではなく、おなじ人間によってうばわれていたという事実…。
女性はこうもかたります。

(p24)
本当に恐ろしいのは 自分もやってしまうかもしれないことよ
―もし子供を乗せて逃げていたとしたら…もしかしたら私も…


いま、この場から、他人の罪をせめることはかんたんですが、
もしじぶんだったら。
極限状態におかれたとき、もしじぶんがそのたちばになったら。
それをかんがえると、安易にひとを断罪するがわにまわるのは、ためらわれます。

とはいえ、p80にあるような、よそからきてガレキのまえで記念写真をとる連中は、
めのまえにきたら瞬速でなぐりとばしていることでしょう。
「まさかそんな、マンガじゃあるまいし」とおもっていたのですが、
そんなマンガみたいなことをするヤカラが、ホントにいたとは。

テメーらがピースしてる、そのガレキのしたにはだな、
たくさんのいのちが、
だれかをたすけたいのちが、
みつけられるのをまっているいのちが、
まだねむっているんだよ!
きづけよバカヤロー!

ガレキを撤去している工事関係者や自衛隊員たちは、
その作業のさなかに、そうした遺体をほりおこすこともあります。
重機でもちあげたそのガレキのなかに、うまっていたひとたちが。
ふとみえたランドセルをもちあげると、それをせおっていたこどもが。

(p122)
でも…やはりここでも美談だけでは終わらず
あまりに激しい惨状と任務に耐えきれず 逃げ出す隊員もいたのです
だけれど それを責めることが 誰にできるでしょう
訓練を重ねた隊員さえ押しつぶす―現実…


ギャグタッチながらも、いかりをストレートにかきあらわす作者。
そのいかりは、震災の現場で必死にいきているひとたちには、決してむきません。
おもに「選挙で勝つことしか考えてない系」のひとたちに対しての、はげしいいかり。

それでもいきていく、ときにコミカルですらある(作者ら)被災者たちのすがたは、
「なんてつよいひとたちだろう、いや、つよくあろうとしているんだ」と感じます。

「戦争も関東大震災も乗り越えてきたから大丈夫!!
 あんたこそケガのない様 気をつけなさい!」
「私さ…家も全部流されたけど
 またこの町に住みたい!」
「俺は俺らしく―まず自分が元気出して そして人を元気にして
 ばあちゃんの笑顔を思い出すんだ」


なにかしてあげよう、なんて、うえから目線でいられるはずがありません。
ぼくはぼくのできることを。
なにかあったときに、つよくあろうとしていられる、からだとこころを。

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