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ブルース・スプリングスティーン『レッキング・ボール』


レッキング・ボール(初回生産限定盤)レッキング・ボール(初回生産限定盤)
(2012/03/21)
ブルース・スプリングスティーン

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ブックレットのなかにおさめられた、1枚の写真。
ステージのうえから観客にむかって、楽器をもった右腕をかかげるふたり。
ギターをもったブルース・スプリングスティーン。
そして、サックスをもったクラレンス・ “ビッグ・マン” ・クレモンズ。

Eストリート・バンドの中心的存在でもあったクラレンスは、
2011年6月、脳卒中の合併症により亡くなりました。享年69。
亡くなる直前には、レディー・ガガ『ボーン・ディス・ウェイ』に参加しており、
その存在感を魅せつけていただけに、当時はとてもショックでした。

写真のよこには、ボスのコメントがそえられています。
クラレンスとのおもいでをかたったあと、最後はこうしめくくりました。

クラレンスは死んでもEストリート・バンドを去りません。
彼がバンドを去るのは僕らが死ぬときです。


よんだ瞬間、おもわず、なきくずれてしまいました。
いまよみかえしても、もうはなのおくがツーンとしてきます。
これほどのつよいきずなでむすばれたこと。
ロックの歴史にのこる、すばらしい作品群をともにつくりだしてきたこと。
ふたりにとっても、かれらの作品を愛するひとびとにとっても、
それはとてもしあわせなことだったのですね。

さて、最新アルバムとなる本作は、かなしみにうちひしがれる作品ではありません。
ここにあるのは、怒り。
"Occupy Wall Street" に呼応するかのように、
99%のひとびとのくるしさを歌にすくいあげ、1%の富裕層を糾弾します。

賭博師はサイコロを転がし
労働者は請求書の支払いに追われる
銀行家の住む丘の上は、まだ豪勢で羽振りがいい

("Shackled And Drawn")

銀行家はぶくぶく太り
労働者はますます痩せる
前にも起こった、これからもまた起こる

("Jack Of All Trades")

奴らは俺たちの家族、工場を破壊し
俺たちの家を奪った
奴らは俺たちの死体を平原に置き去りにし
禿げ鷹に骨をつつかせた

("Death To My Hometown")

とくに、リードシングルとなった "We Take Care Of Our Own" は、
「政府はあてにならない」
「じぶんの面倒はじぶんでみるんだ」
という歌詞の内容から、アメリカ本国でおおきな話題になっているようです。

産経新聞3月18日
「政府なんか頼らぬ…愛国ロックか体制批判か スプリングスティーン新曲、物議」


誰も何もしてくれない、騎兵隊は出動しなかった
ラッパの音は聞こえてこない
俺たちは自分たちで支え合う
俺たちは自分たちで支え合う
星条旗がどこで翻っていようと

( "We Take Care Of Our Own" )

2005年のハリケーン・カトリーナによるニューオーリンズの被害をおもわせる歌詞。
あれからニューオーリンズが復興するのに、かなりの時間を要したといいます。
政府からの支援が、期待したほどにとどかない被災地。

解説の湯川れい子さんがかいているように、まさにいまの福島のすがたにもみえます。
いまもなお、たかい放射線量のなかですごす、福島のこどもたち。
それぞれの事情があるにせよ、なぜ政府はたすけのてをさしのべないのか。
「胸がキリキリと痛む」という湯川さんは、こうかいています。

私たち日本人も、自分たちの決意と責任とで、
自分たちの今日と明日を守らなければいけないのだと、
誰もがそれぞれに思い始めているのではないだろうか。
さもなければ、この失望と閉塞感の中では、
もはや息をするのも苦しくて、生きる力を失ってしまう。


「政治家にまかせていれば、なんとかしてくれる」
「えらい学者さんがいっているのだから、まちがいない」
それでうまくいく時代は、3.11をさかいに過去のものになってしまいました。
(それ以前からそうだったのでしょうが、顕在化したという意味で)

「テメーのケツはテメーでふく」
ことばにすればかんたんなことですが、それを実行にうつすことがむずかしい。
じぶんの責任でうごきたくても、そのためのくいぶちをかせぐのはラクじゃない。
企業・工場は人件費のやすい海外へ移転し、税金はますますあがろうとしている。

それでも。
ボスのちからづよいうたごえが、せなかをおしてくれます。
うえから講釈をたれるのではなく、だれにでもわかることばで、はげましてくれます。
理想郷たる「約束の地」にはまだまだとおいけれど、あきらめるなと。
「怒りを持ち続けろ、怖気づくな」と。

激しい時代がやって来ては、また去って行き
激しい時代がやって来ては、また去って行き
激しい時代がやって来ては、また去って行き
激しい時代がやって来ては、また去って行き
激しい時代がやって来ては、また去って行き
そしてまた、激しい時代がやって来る

おまえの鉄球を下してみろ
おまえの鉄球を下してみろ

("Wrecking Ball")

ボスみたいな、ぶっとい鉄球はありませんが、
ぜったいにすてられない、ちっちゃなボールくらいはもっているつもりです。
できるかぎりのちからで、かましてやろうじゃありませんか。

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