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ミシェル・ヌードセン 作/ケビン・ホークス 絵『としょかんライオン』


としょかんライオン (海外秀作絵本 17)としょかんライオン (海外秀作絵本 17)
(2007/04/20)
ミシェル・ヌードセン

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坂本龍一+編纂チーム選『いまだから読みたい本 -3.11後の日本』(小学館)で、
JRC(音楽著作権管理会社)の荒川祐二さんがこの本を推薦していました。
じつは、2007年3刷のときに、すでに買っていたのです。
なので、おもわずところですきな本が出てきて、おどろいたりうれしかったり。

荒川さんいわく、

(前掲書p117)
「ドキドキするストーリーを楽しみながら『きまりを守る』ことの本当の意味や
 臨機応変に判断することの大切さを考えさせられる、大人こそ読みたい絵本」


図書館にライオンがはいってきたらどうするか?
ひとをおそうようなら麻酔銃スナイパーの手番でしょうが、
このライオンは、ひとにかみつこうとするでもなく、威嚇してほえるでもなく、
クッションに顔をうずめてねむったり、
おはなしの時間に、こどもたちといっしょにじっときいていたり。

おはなしがおわると「もっとよんで!」と、おおきな声でほえてしまいます。
そこにあらわれた、図書館のメリウェザー館長。
「しずかにできないのなら、としょかんから
 でていっていただきます。それが きまりですから!」

ライオンだから問答無用に出ていけ!ではなく、
あくまでもルールにのっとって、うるさくしたら出ていけ!と。
たしかに「ライオンは図書館にはいるべからず」というきまりはありません。

つまり、しずかに行儀よくしていれば、ライオンも図書館にいていい、と。
なのでライオンは、
書棚のほこりをはらったり、封筒ののりづけがわりにベロでなめたり、
こどもをせなかにのせて、たかいところに手をとどけさせてあげたり。

ライオンはすっかり図書館の人気者。
それがおもしろくないのは、まじめな図書館員のマクビーさんで…。

…というところで、ネタバレはやめておきますが、
これはほんとうによくできています。
おおくの海外絵本賞を受賞したのもうなづけます。

図書館ではしずかにしなければならない。
走ったり、さわいだりしてはいけない。
でもそれは、どんなときでも、どんな状況でもまもるべきこと?
ルールとマナーのちがい、ということをかんがえさせる話です。

絵本なので、もちろんたくさんの絵がえがかれています。
ライオンの造形は、マンガチックではなく、でもリアルすぎない感じ。
ねっころがって、こどもがせなかをあずけているさまは、なんと愛らしいこと。

そして魅力的なのが、メリウェザー館長。
ライオンがはじめてきたときも、まるで動じない、冷静沈着な女性。
あたらしいことがらを、おちついてうけいれる姿勢。

荒川祐二さんが、この本を「いまだから読みたい本」にいれたことから、
 ◯ライオン=未体験の事態=3.11以降におこったさまざまな問題、
 ◯図書館のひとたち=3.11震災に遭遇し、対応をせまられるわたしたち、
という見かたができるとおもいます。

かつて体験したことのない事態に、どう応じればいいのか?
いまあるルールのすべてを厳守することは、かならずなされるべきなのか?
まさに臨機応変に、その場の判断でなすべきこともあるのではないか?

もちろんこの本は震災のまえにつくられたものなので、
こういう見かたは、ぼくなりのあとづけにすぎません。
でも、こどものためのつくり話をきっかけにして、
おはなしを聞いたこどもたちが、かんがえるきざしになれば、ともおもうのです。

おとなのぼくたちが、もっとも感情移入できるのは、マクビーさんでしょう。
ルールをまもるきまじめさゆえに、ライオンをよくおもわないのですが、
物語の後半に、じつにいい役割をはたすことになります。
アメリカのウェルメイドコメディのような、粋なふるまいをしてくれます。

できるならば、メリウェザー館長のようなフトコロのふかさと、
マクビーさんのような自省のこころをもちたいものです。

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