スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

成田亨『特撮と怪獣ーわが造形美術』


特撮と怪獣―わが造形美術特撮と怪獣―わが造形美術
(1995/12)
成田 亨

商品詳細を見る

ウルトラマンの墓が、じつはもう、つくられているのです。
つくったのは、ウルトラマンのデザイナーであり、本作の著者、成田亨氏。
墓には、成田氏の筆による鎮魂歌がささげられました。

(p11)
君を利用し
金儲けをたくらむ地球人の為に
角をつけたり
髭をつけたり
乳房を出したりしてはいけない

スーツを着たり
和服を着たり
星空に向かってラーメンをかゝげてはいけない


いまなら「ガソリンスタンドではたらいてはいけない」とか、
「麻雀卓をかこんではいけない」とかも、くわわるでしょうか(チトふるい?)。

シンプル・イズ・ベストの極地ともいえる、初代ウルトラマンの造形。
できるだけかんたんに、単純に、ものをまとめていくかんがえかた=コスモス。
そのコスモスの思想のもとにつくりだされたウルトラマンに、
ゴチャゴチャとよけいなものをつけるんじゃない!というのは、よくわかります。

ましてテレビコマーシャルで、妙ちくりんなギャグをやらされるなど、
産みの親には、とてもたえられなかったのでしょう。
昭和から平成へとうつるなか、時代とともに変容していくウルトラマンへのおもいが、
本作のそこここに散見できます。

目次はこちら。

1 ウルトラマンの死 ★ウルトラマンとは何か
2 幼少、青年期の記憶 ★僕が美術学生のころ
3 東宝・東映特撮時代 ★特撮と現場
4 夜明けの怪獣たち ★怪獣デザイン三原則の確立
5 マンからセブンへ ★ウルトラシリーズへの挑戦
6 わが造形美術 ★日本のモンスター・鬼


本人インタビューをもとに、口述筆記のかたちで書かれたものでしょう。
年代順にたどっていきながらも、おもいつくたび、はなしがあちこちにとびます。
じぶんの人生をふりかえるあいまに、ふっと出てくる特撮技術の具体的なコツに、
「なるほど、そういう工夫があったのか」と目からウロコがポロポロおちます。

ウルトラマンが、コスモス=シンプルにつくられたものならば、
対する怪獣は、カオス=どろどろの世界をあてはめたものでした。
とはいえ、そこには成田氏独自のルールがあったそうです。
その「怪獣デザイン三原則」とは…。

(p145〜148)
1 過去にいた、または現存する動物をそのまま作り、
  映像演出の巨大化のトリックだけを便りにしない。

2 過去の人間が考えた人間と動物、動物と動物の同存化合成表現の技術は使うが、
  奇形化はしない。
  つまり、頭が二つだの、八つだの、一つの胴に獅子と竜と羊の首がつくだのと
  いったことはしない。

3 体に傷をつけたり、傷跡をつけたり、血を流したりはしない。


「ウルトラマン」や「ウルトラセブン」の怪獣を、いくつかおもいうかべてみると、
この三原則にのっとってつくられているはずです。

まず、創造性のあるものをつくりたい。
そして、お茶の間で見るのだから、不健康・不愉快なものではいけない。
さらに、現場の事情をかんがみて、つかいやすいかたちにし、
予算とも相談しながら、費用がたかすぎないようにする。

最後に成田氏がもとめたのが、「意外性」。
だれも見たことがない、はじめて見るかたち。
彫刻家であった成田氏は、それを抽象性にもとめました。
最終的に、あまりにも大衆からはなれすぎないように「半抽象」でデザイン。
これによって、こわいながらも愛嬌のある、独特の成田デザインがうまれました。

ここ数年のウルトラシリーズは、あまりくわしく見ていないのですが、
こうした成田氏の思想は、どれほどうけつがれているのでしょうか。
こどもたちにこわがられ、そして愛される、怪獣の登場をのぞみます。

おわりに、冒頭の鎮魂歌の最後の部分を。

(p12)
経済と技術に溺れて了った地球人は
叡智と勇気を失って
いま
もだえ苦しんでいる

しかし
遠からず必ず普遍の叡智を取りもどすだろう
君は星空の彼方から見とどけてくれたまえ
永遠の偶像よ


いまのくるしい状況を、一瞬で打破してくれるウルトラマンはいません。
最後はアラシ隊員の無重力弾でゼットン(初代)をたおしたように、
人間じしんの手で、どうにか道をきりひらかないといけないのです。
そのすがたを見まもっていてくれるものたちの目を感じながら。

スポンサーサイト

トラックバック一覧

コメント一覧

コメントの投稿

名前

タイトル

メールアドレス

URL

本文

パスワード

非公開コメント管理者にだけ表示を許可する

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。