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しりあがり寿『方舟』


方舟方舟
(2000/12)
しりあがり 寿

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NHKクローズアップ現代「止まない雨〜緊急報告 紀伊半島豪雨」を見ました。
死者46人(9月6日現在)を出した豪雨、そして山の深層崩壊。
亡くなられたかたがたのご冥福をおいのりするとともに、
被災地の一日もはやい復旧をねがいます。

タイトルの「止まない雨」を見た瞬間に、すぐ脳裏にうかんだのが、
2000年に発表されたこの作品でした。
「クイック・ジャパン」での連載は、1999年4月からの1年間。
世紀末、世界のおわりは案外このようにしてくるのかもとおもわせます。

止まない雨。
「すぐ止みますよ」
止まない雨。
「えー毎日すっごいゆううつってカンジー」
「やっぱりお洗濯ができないのがねえ」
「いやあ傘がよく売れてねえ。私ばっか喜んじゃいけないんだけど」

止まない雨。
「世界の終わりです。悔い改めましょう。神は悔い改めた者だけを救います」
止まない雨。
「政府といたしましては全力をあげて被災者への支援を」
止まない雨。
「♪自分のままで生きよーぜ ありのままの自分が大切さ〜」
止まない雨。
「あなたはいったい何してるの、そうやって一日中座ってるだけで」
「オレはだからインターネットとか使って情報を集めてるんじゃないか」

止まない雨。
「いやだ…水…あなた…」
止まない雨。
「前はずーっと下の方に浮いてたのに、水面が上がるにつれて死んだ人が近づいてきて」
止まない雨。
「今までマジメにいっしょうけんめい働いてたのは何だったんだ!!」
止まない雨。
「でもきっといつか雨は止む」
止まない雨。
「他の家が静かになったな」
「他の家はみんなうちより低いからな」

止まない雨。
「この期におよんでまだ希望だと…おまえらみんなバカか!!」

ハリウッドのディザスター映画は、圧倒的な物量とVFXで世界の終末をえがきますが、
ここではそんなド派手な効果はかけらもありません。
ただ雨がふるだけ。
いつまでもいつまでもいつまでも、雨がふるだけ。

「まさかこんなことがおこるなんて」
「おもってもみなかった」
「想定外の事態」
しかし現実に、それはおきたのです。

人智をこえた脅威にさらされたとき、人間にはなすすべなどない。
ただ地球の意思に身をまかせるしかできないのだ。
世紀末の気分とともに、そんな諦念と絶望をあじあわされた作品でした。

あれから11年。
このたび、著者の新作『あの日からのマンガ』が発表されました。
3.11以降に、朝日新聞の連載「地球防衛家のヒトビト」や、コミックビームなど、
各雑誌で発表された作品をまとめたものです。

どうしようもない絶望をとおりぬけ、そのさきにあるかすかな希望、そしてギャグ。
「たとえ間違えているとしても、今、描こう」という著者のおもいをうけとめ、
なんどもよみかえしてみようとおもいます。

おなじ作者がえがいた、絶望と希望。
ふたつをよみくらべながら、
「ああ、『あの日』からなにもかもがかわったんだ」とおもわずにいられません。

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