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水野倫之・山崎淑行・藤原淳登『緊急解説!福島第一原発事故と放射線』


緊急解説! 福島第一原発事故と放射線 (NHK出版新書 353)緊急解説! 福島第一原発事故と放射線 (NHK出版新書 353)
(2011/06/08)
水野 倫之、山崎 淑行 他

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一時期は解説の内容よりも、個性的なネクタイの柄で注目をあつめていた、
NHK解説委員の水野倫之氏。
六ヶ所村、もんじゅ、東海村などを取材した、科学技術担当の解説者です。

「政府発表とちがう見解をはなすから、干されてしまったのでは?」
といううわさもながれていましたが、
最近は「サイエンスZERO」などの番組で、原発事故の解説をしています。

その水野氏ら、NHK所属の3人による共著が本書です。
第2章が水野氏単独で「日本はどうして原発を進めたのか?」。
そのなかで、自身が原子力関係で取材をしたときのエピソードを書いています。
六ケ所村のウラン濃縮工場に、はじめてウランの原料がはこびこまれた日。

(p99)
前日の記者会見で事業所の役員にどの門から運び込むかを確認し、
当日カメラマンと一緒に待っていたら、
別の門から入ってしまい、撮影できませんでした。
反対派も来ていましたし、混乱を避けたいという警備当局の要請があったのでしょう。
いずれにしても私はきれいにだまされました。
カメラマンが「始末書を書かなければ」と話していたのを覚えています。

おかげで私も記者としていろいろ鍛えられたということはありますが、
そうして嘘をつかないとやっていけない原子力というのは一体何なのだろうと、
強く疑問に思いました。


トラブルをさけるために、公共放送にさえもウソをつく。
原子炉許可申請書の折れ線グラフの値をきいても、おしえようとしない。
ほんのちいさなことでさえこの始末だと、水野氏は身をもって実感したのでした。

(p100)
いずれにせよ、
原子力の世界の人はできるだけ情報を出さない、知らせないということで、
出来上がっている推進体制を守ろうとしていましたし、
その世界の外部にいる者を信じないというところがあるように思います。
たださすがに、最近は数々の事故やトラブル隠しを経て、あからさまな情報隠しは減り、
その姿勢も改善されつつあるとは思います。


水野氏のよみどおりならいいのですが、
合同会見に出つづけている木野龍逸さんらのツイートを見ると、
そうかんたんに、改善しているとはいえないような気もします。

第4章は、NHK名古屋の山崎淳登記者と、水野氏との対談。
2002年、東京電力のトラブル隠しについて、山崎氏。

(p160)
アメリカでもひびが入った状態での運転を認めていました。
東京電力も、内部の技術評価で同じ判断だった。
ただ、それを国に報告してしまうと、
「また長期にわたって炉の停止を命じられてしまうのではないか」
「日頃の判断を見ても、国は技術的に合理的な判断はしてくれないだろう」と、
東京電力の技術者たちは考えたわけなんです。

だから、ペンキでひびに色を塗ってごまかしたりしてしまった。
結局、国側と電力会社も、一緒にやっているようで
全く信頼関係が構築されていなかったということなんです。


一枚岩になって原発推進をしているように見える両者ですが、
内実は、積極的な協力関係とはいえないもののようです。

東電・保安院の合同会見における情報の出しかたについて、水野氏。

(p176)
記者会見をそのまま聞いて中身がちゃんとわかる人は、
国民の中にほとんどいないわけです。
それはつまり、一般の人が何を知りたがっているのかっていうことも、
あまり考えていないんじゃないかなと。

事故が起きてからずっとそうですが、
毎回まず各号機がどんな状況かという説明から始まり、
最初から焦点になっていることを切り出さないんですね。
国民が知りたがっていることは何なのかということをほとんど意に介さないというか、
常に自分たちのペースで進めているという感じは否めませんね。
普段は技術者同士でしか会話をしないから、それで通じると思ってしまうんでしょう。

こういう緊急事態のときには、
画面の向こうに国民がいるんだということを、わかってほしいです。


本書の大部分は、福島原発事故や放射線についての解説なのですが、
情報のつたえかたという側面から、こうしたことばが印象にのこしました。
さきに感想を書いた『報道災害【原発編】』とあわせて読むと、
このあたりの問題点が、くっきりうかびあがってきます。

ただ、情報を出すがわだけの問題ではありません。
情報をうけとるがわも、じぶんのかんがえをきちんと整理し、
国民による意思決定に、能動的に参画していくこころがまえが必要でしょう。

(p168)
水野 とにかく「私は関係ないよ」というのは、もう許されないんじゃないかなと。

原発のある国にすむひとりとして、
これからのことを、情報をじぶんで咀嚼しながら、かんがえていこうとおもいます。

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