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高橋千鶴『コクリコ坂から』


コクリコ坂からコクリコ坂から
(2010/07/10)
高橋 千鶴

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きょう8月9日のNHK特番「ふたり 宮崎駿×宮崎吾朗」、
ごらんになったかたもいらっしゃるとおもいます。
冒頭からじつに気まずい空気をかもし出しているこの親子、
はたから見ている分には、たいへんおもしろい取材対象なのですが、
あのただなかにいるジブリのスタッフたちは、たまったものではないでしょう。

さて、親子ではじめての共同作業となった『コクリコ坂から』ですが、
原作となるマンガは、「なかよし」1980年1月号~8月号に連載されました。
今回の映画化をうけて、角川書店から復刻、一冊ものとして発売されています。

表紙を見られた方、「だれだこの子たちは?」とおもわれたでしょうか。
なにせ30年前の少女マンガですからねえ。
映画版は、あのジブリっぽい、近藤勝也氏デザインのキャラになっています。

原作者の佐山哲郎氏によると、本来はながく連載するつもりだったのが、
読者の人気をえられず、あえなく8話で打ち切りになったそうです。
俊と史郎が、賭麻雀に負けた分の担保に生徒手帳をあずけて、その穴うめとか。
出生の秘密を知った海が、軽薄な男とつきあいはじめ、ディスコでおもちかえり寸前とか。
「なかよし」に連載するにしては、たしかに背のびしすぎの感がある気がします。

コクリコ荘の旗、海と俊の出あい、出生の秘密、ふたりがえらぶ道…と、
物語のおおすじは、ほぼ映画版とおなじです。
そこに、ふたりをとりまくひとたちのサブストーリーがくっついているという。

海のおばあちゃんと、はなれて暮らすおじいちゃん(がいるんですよ!)。
女子大生のアルバイト芸者、金太ねえさん(賭麻雀の相手)。
海のあこがれの君、研修医の北斗さん(男性。映画では女性に変更)。

正直、なかなかに読みすすめづらかったです。
だれがだれだったか確認しながらでないと、人間関係が把握しきれないし、
「こんなヤツのどこに惚れる要素があるんだ?」という目で俊を見てしまうし。

それでもどうにか読み終えられたのは、主役・海の明るさにあったとおもいます。
1話目から、じつに表情がゆたか。
いかにも当時の少女マンガらしい、美人顔もあり、ギャグ顔もあり。
読んでいるほうとしては「もすこしおちつけ」といいたくもなるのですが、
複雑な、深刻な状況を、その明るさでつきすすんでいくようでした。

NHK特番で、海の造形について宮崎駿氏が「暗い」とかたっていました。
「(海も俊も)死んだ人を見ている」「これじゃ見てくれないよ」と。
吾朗監督としては、亡き父親のことをふりきったつもりで、まだひきずっていること、
そして、父親とのコミュニケーションがとれなかった自分じしんの幼少時代のこと、
それらをふくめての、キャラクター造形だったのでしょう。

宮崎駿氏や鈴木敏夫プロデューサーのダメ出しをうけて、
吾朗監督はキャラデザ近藤勝也氏とともに、キャラ造形をつくりなおしました。
結果、ふたたび生み出された海は、スタッフに「海ちゃんが変わった」といわれるまでに。
これに長澤まさみの低いボイスがのって、陰はあるけど明るさをうしなわない、
ヒロインの誕生となりました。

映画版を見て、じゅうぶんに満足された方はもちろん、
「なんでこんな古くさい話を」「いつの時代のドラマ展開だよ」とおもわれた方も、
参考資料として読まれるのもいいかとおもいます。
脚本家・宮崎駿のすごさが、逆にうかびあがるのではないでしょうか。
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