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江戸川乱歩『怪人二十面相』


怪人二十面相―少年探偵 (ポプラ文庫クラシック)怪人二十面相―少年探偵 (ポプラ文庫クラシック)
(2008/11)
江戸川 乱歩

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ひところ某賞レースをめぐって世間をさわがせたポプラ社ですが、
このシリーズを文庫版で復刻したことは、いくらでも賞賛をおくりたいとおもいます。
あのカバー絵を書店で見つけたときのおどろきといったら!

小学生のときに入りびたっていた、学校の図書室。
はいってすぐ横の書棚にあったのが、江戸川乱歩の少年探偵団シリーズでした。
低学年のころは、あのおどろおどろしい絵がこわくて、本をひらくこともできず。
(もっとちいさいこども用の本ばかり読んでいた、というのもありますが)
手にとりはじめたのは、5~6年生のころだったはずです。

当時ですら、なにやら古めかしいと感じた挿絵。
「おとうさま、おかあさま」「賊」といった、聞きなれない言いまわし。
年がちかいこどものはずなのに、ピストルを携帯している小林少年。
なにもかもが、それまで自分が見知っていた本とは、まったくちがう世界でした。

ちかくに大きな書店もなく、ましてインターネットなど影も形もない少年時代。
江戸川乱歩なる作家が、どこのどういう人物なのか、生きているのか死んだ人なのか、
そうした情報は、なにひとつ手にいれられません。
というより、気にならなかったというか。
だれが書いたかよりも、目のまえでくりひろげられる、奇想天外な推理・冒険がすべてでした。

さて、このシリーズ第1作。
タイトルは「怪人二十面相」ですが、いちおう主人公は明智小五郎になるのでしょうか。
ですが、最初のダイアモンド+観世音像強奪事件では、海外出張で留守。
つぎの日下部老人宅での事件では、登場したとおもったら、二十面相の変装。
ほんとうの本人の出番は、全体の半分をこえたあたりからです。
さんざんじらしてからウルトラマンが出てくるのに、ちかいような気もします。

「いや、しっけい、しっけい。
 つい、きみたちの大まじめなお芝居がおもしろかったものだからね」

「まあ、ぼくを信じていたまえ。
 きみも知っているだろう。ぼくが一度だって失敗したことがあったかい」

「ハハハ……、二十面相君、ご苦労さまだったねえ。
 さいぜんからきみはずいぶん苦しかっただろう」


こども心に、こうした明智のセリフは、たいへんたのもしくきこえるものでした。
このひとがいれば大丈夫、かならずなんとかしてくれる、と。
スーパー戦隊や仮面ライダーを見るような目で、明智を見ていたのかもしれません。

いま、おとなの目で見かえしてみると、なんとも大仰というか、舞台調というか。
そういう意味では、ちょっと前にフジテレビでやっていた2時間ドラマ版は、
けっこうこの作品の特徴をつかんでいたように感じられます。
明智=陣内孝則、浪越警部=伊武雅刀らのセリフまわしも、よくマッチしていました。

「♪ぼ、ぼ、ぼくらは少年探偵団~」のテーマ曲は、いつのころでしたっけ?
すくなくとも、自分がうまれるまえなのはたしかですが。

当時は小林少年にシンクロして読んでいましたが、
いまならだれになるでしょうか。刑事部長とか?
「よーし、わかった!」と手をたたいて、事件をミスリードして…あ、別の警部か。

いまどきの小学校の図書室には、このシリーズはあるのでしょうか。
ちょっとまえに、新装丁の少年探偵団シリーズが出てましたが、それがあるのかも。
あちらは、「ちょっとこれはちがうような…」と、敬遠していました。
「ただの懐古厨じゃないか」といわれればそれまでですが。おもいいれが、ね。

ハードカバーから文庫になって、値段も手にいれやすくなっているので、
全国の小学校の先生方、よろしければご一考を。

このあと、中学~高校時代に、
『人間椅子』『芋虫』『盲獣』といった、江戸川乱歩のさらなる代表作を知り、
えもいわれぬ変態の世界に一歩ふみだすことになるのですが、それはまた別の話。

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