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アルテス VOL.01 坂本龍一「明日の見えない時代に、耳を澄ます」


アルテス Vol.1アルテス Vol.1
(2011/11/25)
坂本龍一、片山杜秀 他

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11月に創刊されたばかりの、「ジャンル無用の音楽言論誌」。
新譜紹介ページなどはまったくなく、ひたすら文章がつづきます。
のぞむところです。
こういうのをじっくりとよみとき、インプットの時間をとるのも必要なこと。

ということで、まずは教授のインタビューから。
全16ページ。
くりかえし発言しているのは、3.11以降の「がんばろう」という風潮への反発。

(p24)
〈kizuna world〉という曲はたぶん3.11以降はじめて自分が世の中に出した音で、
(中略)「頑張ろう」とか励ましとかじゃないんです。
つまり、亡くなった方たちと残された家族に寄り添って、邪魔にならない音楽ですね。


(p26)
そういう近代の世界像、あるいは人工環境という夢が少し綻びちゃったので、
「頑張ろう」と呼びかけるCMを作ったり、音楽を作ったり歌ったりして、
その夢をもういちど見ようとするわけです。
でも、それはダメですよね。
むしろ、悪いのは夢だったんだよ、現実はこうだよ、と覚醒しなければと思うんですが、
難しいですよね。


(p28〜29)
うるさい音楽はこういうときには耳にしたくないですよね。
だから、頑張ろうなんていう音楽はもうとんでもない話でね。
頑張らない音楽がいいですよね、こういうときは。


(p30)
自分でも、なぜこんなに「頑張ろう」が嫌いなんだろうと思いますけどね(笑)。
でも、それはやっぱり欺瞞だからでしょう。
吉岡(洋)さんも言っていましたが、
怖いものを怖いと表現するとか、泣きたいときに泣くとか、
頭で理解できないことが起こったときには混乱するのが自然なことなのに、
それすらできない人間たちになってしまったのかという絶望というのか、
そこにはほんとうに共感できますね。


(p32)
真実をつぶやかれると困る人が多いので、
その反対の物語を作って、みんなで「頑張ろう」といって防御する。
壁を作るというか、真実を見ないようにするんじゃないのかな。


ページをめくるたびに、がんばろうなんてクソくらえ!という発言が。
たしかに、ここのところの教授の曲は、
意図的に「がんばろう」というメッセージをこめたものはありませんね。
かつては「音楽の計画」なんていうアジテーション曲をかいていたものですが…。
(あのころのギラギラしてた教授も、また魅力的ではありますが)

「がんばろう」ということばを、Wall of Soundのごとくあびせかけることで、
目をむけるべきだいじなことから注意をそらし、
思考停止においこんでいるのではないか。
ガンガンうるさいおと(音楽、とはよびたくない)でもって、
世にしらしめるべきことをカモフラージュしているのではないか。

そのような、しくまれたかこいを突破するためには、どうすればいいのでしょう。
教授の提案は、タイトルにあるとおり「耳を澄ます」こと。
これからおころうとしていることに「耳をそばだてる」こと。

(p32)
物語の筋が見えない不安定さに耐え続けなきゃいけない。
だからこそ、頑張ろう節みたいなもの、頑張ろうという物語に
安直に手を出してしまう人たちもたくさんいるんでしょう。
でも、ほんとうに真摯な態度というのは、
明日どうなるかわからないという状態に耐え続けて、
きちんと目を開いていること、あるいは耳で聴くことでしょうね。

煽動するこえ、思考力をうばうおとに、ホイホイついていくのをグッとたえて、
ほんとうにきかなければならないこえ、おとに、しっかり「耳を澄ます」こと。
どれだけじぶんのセンサーを鋭敏な状態にしておけるか、が勝負ですね。

そう、さいきんきく教授の曲は、きいているこっちが「耳を澄ます」ものです。
「kizuna」「kizuna world」『一命』サントラなど、
きいてゆったりリラックス、というのでなく、むしろ集中力をつかうというか。
しずかな曲なんだけど、ききおわるとどこかつかれてる、というか。
USTREAMでみているライブの、あのいきをのむ感覚が尾をひいているのかも。

(p28)
エコな音楽って、一般的にはアコースティックで、リラックスできてとか、
そういうイメージだと思うんですが、そういう音楽はぼく大っ嫌いだし(笑)。
作る気はないし。
でも、もっと本質的にエコな音楽というものがあるんじゃないかと思うんですけど、
なかなか思いつかなくて。


ライブをかさねるたびに、どんどんあたらしい表現をみせつけてくる教授の作品は、
しずかだけど刺激的、はいりこむとどっぷりハマる音楽。
ちかくでるライブDVD+CDをききながら、つぎの展開をまつとしましょう。

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